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SNSを証拠提出することは基本的に問題がない

SNSに自らアップロードした情報を事件の相手方が証拠提出してきても、文句は言えません。たとえば、慰謝料請求事件で、被告側が、「原告は、事件のショックで働けなくなったと言うが、SNSには働いている情報が記載されている」と主張してくるケース等が考えられます。

このようなことは、法律の専門家でなくても、理解している人の方が多く、ほとんどの人には、説明不要だと思います。しかし、インターネットにアップロードした情報を勝手に利用されることを、プライバシー侵害ではないかと考える方が稀におられます。「自分の情報を勝手に利用されたからプライバシー侵害だ」、「裁判に利用することは承諾していない」という感覚だと思います。

しかし、インターネットに公開された情報は、世界中の人が見ることができますから、それを承知で、自分で書き込んだ情報は、基本的には、プライバシー性が放棄されており、「何に使われても文句が言えない」とまでは言いませんが、民事訴訟で証拠として提出するのは、まず適法です。

いわゆる「鍵アカ」(アカウント所持者が承認しないと見ることができない)であっても、自ら承認した以上、同じことです。匿名のアカウントから承認申請があり、それを承認したところ、事件の相手方だったということがあり得ますが、匿名アカウントがどこの誰か分からないことを承知の上で承認しているのですから、証拠提出されても文句は言えません。

そもそも、日本の民事訴訟では、違法に収集した証拠であっても、刑事上罰すべき行為(犯罪行為)など、著しく反社会的手段によって収集した場合でなければ、証拠能力が肯定されており、証拠排除されることは稀です。まして、他人のコンピュータに不正アクセスでもしない限り、インターネットから入手した情報が証拠排除される可能性は、ほぼありません。

法的紛争を抱えている人は、インターネットに事件のことを書くのは慎重にしましょう。

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