借金減額シミュレーター(借金減額診断)は怪しい?
インターネットで借金減額シミュレーター(借金減額診断)を見て、「怪しい」「詐欺ではないか」と思われた人もいるかもしれません。
結論から言うと、ほとんどの借金減額シミュレーター(借金減額診断)は、詐欺などではなく、弁護士や司法書士事務所への依頼の勧誘を目的としています。つまり、広告です。
借金減額シミュレーター(借金減額診断)は正しいのか?
シミュレーター(借金減額診断)の種類
複数の借金減額シミュレーター(減額診断)を使ってみましたが、概ね、次のようなものです。
まず、①債務総額、②毎月の返済額、③利率を入力すると、「減額可能性あり」とだけ表示されるものがありました。要するに、法律事務所に相談させるのが目的なので、何を入力しても、基本的に、「減額可能性あり」としか表示されません。
また、入力しただけでは結果が表示されず、連絡先などの個人情報の入力を求めた上、法律事務所から、結果を連絡するというものもありました。これは、シミュレーターと書いていても、事実上、法律相談の問い合わせに近いですね。
他には、債務総額を60回で割って、任意整理による予想返済額を表示し、将来利息がどれくらいカットできるのかを表示するものがありました。任意整理の予測としては、これが正確に近いと思います。
正確性について
確かに、弁護士を通じた任意整理では、多くの債権者(金融機関)が60回の分割、将来金利のカットに応じてれくれています。したがって、債務総額を60分割して、金利をカットするというのは、一応の簡易的な予測としては正しいです。
しかし、実際には、金融機関によって、36回(3年)分割にしか応じない場合もありますし、取引期間が短いと12回(1年)分割とか、頭金を入れてほしいと言われることもあります。また、最近では、将来金利の付加を求める金融機関も増えており、必ず金利がカットできるとは限りません。
更に、たとえば、自動車を維持したいけど、自動車ローンを除外して任意整理したのでは、家計改善が不可能というケースもあり、単純に、債務総額を60回分割にできるとは限りません。
借金減額シミュレーター(借金減額診断)の何が問題なのか?
- 診断していない
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どのように入力しても、「0円又は減額になる可能性があります」と表示されるものは、全く診断していません。あたかも、具体的な内容に基づいて、判断がなされているかのように見えますが、どう入力しても、同じ結果しか表示されないので、診断しているとは言えないのです。
なぜ、このような広告が横行しているのかというと、どのような借金問題でも、「0円又は減額になる可能性がある」というのは、嘘とは言い難いからです。借金問題で悩んでいる人の多くは、支払不能であり、自己破産すれば、ほとんどの人は免責され、借金は0円になります。現在の裁判所の運用では、免責率は非常に高く、免責不許可になるのは、ごく一部です。また、任意整理でも、多くの金融機関が将来金利カットの和解に応じてくれています。
嘘ではないから良いだろうということなのでしょうが、何を入力しても、同じ結果しか表示されないのですから、ただの広告であることを隠して、診断を提供しているかのように誤認させており、不適切な広告手法と言えるでしょう。
- 営業につなげるケースがある
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弁護士は、面識のない人に対して、個別に営業してはならないことになっています。借金減額シミュレーター(借金減額診断)に連絡先等の個人情報を入力させ、個別営業につなげるケースがあり、問題になっています。
- 処理方針が決まるかのような誤解を招く
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債務整理は、債務総額、返済月額、利率などが判明しただけでは、処理方針を決められません。収入額、退職金、住宅ローン、自動車ローン、保証人、税金や家賃の滞納、親族・友人・勤務先等からの借入、相続財産など、方針を確定するためには、かなりの情報を必要とします。借金減額シミュレーター(借金減額診断)では、方針を決めることなどできないのに、方針を決められるかのような誤解を招くケースがあり、問題になっています。
- 破産や再生が適切なのに、任意整理に誘導する法律事務所がある
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現在、弁護士業界で一番問題になっている点です。
つまり、借金減額シミュレーター(借金減額診断)自体が問題なのではなく、こういった広告をして、多数の債務整理事件を集めている法律事務所の中に、本来であれば、自己破産や個人再生を検討するべきなのに、任意整理に誘導する法律事務所が存在しているのです。
このような法律事務所が、任意整理に誘導するのは、自己破産や個人再生よりも、大量処理に向いており、返済代行手数料による長期的な収入が見込めるからです。しかし、本人の支払能力を考慮せず、任意整理に誘導した結果、結局、支払うことができなくなり、改めて、自己破産や個人再生をすることで、二重に弁護士費用がかかり、本来であれば、もっと早く解決できていたのに、長く、借金問題に苦しむ結果となるケースがあります。
- 直接面談義務に違反している法律事務所がある
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共同通信の記事(R8.3.16)によると、アディーレ法律事務所の調査では、借金減額診断を利用した977人のうち454人が「弁護士や司法書士と直接話していない」と回答したということです。
調査は2025年にアディーレ法律事務所に債務整理を相談した人を対象に実施。2848人から回答があった。
法律事務所は日本弁護士連合会の規程で直接面談を義務付けています。つまり、弁護士と直接面談しなくても依頼できる事務所は、規程に違反した事務所ということになります。
直接面談は、法律事務所に直接行って面談することが必要であり、電話面談やWEB面談はNGとされています。現代のネット社会において、このような制限を課すことに反対する意見もありますが、現在(R8.3.16時点)においては、義務となっています。
このような違反をする事務所が、依頼者の利益のために、誠実に事件処理をするとは考えられません。直接面談義務に違反する法律事務所は避けるべきでしょう。
借金減額シミュレーター(借金減額診断)の使い方
具体的な金額が表示される借金減額シミュレーター(借金減額診断)であれば、一応の目安として、参考程度には、使えると思います。ただし、基本的には広告であることには変わりないので、本当に、きちんと計算されているのかは、ウェブサイト運営者次第であり、保証はできません。
繰り返しますが、金融機関各社で分割可能回数が異なりますし、自己破産や個人再生を勧められることもありますので、あくまで、具体的な方針は、法律事務所に相談しなければ、策定することは不可能です。借金減額シミュレーター(借金減額診断)を使用する場合、その程度のものとして、理解しておく必要があります。

