読売新聞の報道によると、「妻は23年7~8月、東京都内でバーを経営する男性と路上で手をつなぎながら歩いたり、公園のベンチで抱き合ったりキスしたりしたほか、バーの店内で計3回、男性と2人で1~3時間程度を過ごした。」と認定し、「判決は、妻と男性について「親密な関係にあったことがうかがわれる」としつつ、バーで数時間を過ごしても肉体関係を認めることはできないと言及。キスや、抱き合ったり手をつないだりする行為が肉体関係に準じるとは言えず、こうした行為が長期間続いたものでもないことを踏まえ、「結婚生活の平和の維持を侵害する不法行為とは認めがたい」と結論付けた。」ということです。

不貞行為とは、肉体関係(性交渉)のことを指しますので、キスやハグは不貞行為ではないと言えます。
では、キスやハグから肉体関係(性交渉)を推認できるでしょうか。一般に、キスやハグをする親密な関係だからといって、肉体関係(性交渉)まで持っているとは限りません。まだ肉体関係(性交渉)に至っていない場合もありますし、「不貞になるから肉体関係(性交渉)を持つのはやめておこう」という関係のこともあるでしょう。したがって、キスやハグだけでは、肉体関係(性交渉)を推認するのは難しいかもしれません。
しかし、キスやハグに加えて、同じホテルに泊まったとか、自宅に泊まったといった事情があれば、肉体関係(性交渉)が推認される可能性があります。
また、肉体関係(性交渉)を推認するのが難しくても、婚姻共同生活の平穏を害する不法行為として、慰謝料が認められる可能性があります。報道の裁判例では、「肉体関係に準じるとは言えず、こうした行為が長期間続いたものでもないことを踏まえ、「結婚生活の平和の維持を侵害する不法行為とは認めがたい」と結論付けた。」ということですが、SNSでも、相当批判されているように、これが一般的な裁判官の判断とまでは言えないと思われ、裁判官が変われば、結論が変わる可能性は十分あるでしょう。
私の感覚では、キスやハグの証拠があると、言い逃れるのは相当難しくなります。裁判官からも、肉体関係(性交渉)がなかったとしても、疑われても仕方がない行為として、一定額の支払を前提とする和解が打診されるケースが多いでしょう。
こういうケースでは、裁判官によって、事実認定に差が出ると思います。裁判官ごとの判断のブレは、一般の人が考えるより、相当広く存在します。この裁判例も、報道を見た限りでは、控訴されれば、覆る可能性はあるのではないでしょうか。
