最近、請求側に弁護士が付いて、婚姻費用・養育費の過大請求をしている例を立て続けに見ました。
婚姻費用・養育費は、裁判所が標準算定方式を公表しているので、双方の収入が分かれば、概ね、妥当な金額を導き出すことが可能なはずなのですが、算定表上の金額の2倍・3倍という具合です。
もちろん、標準算定方式は、法律ではないので、算定表を超える請求が不当というわけではないのですが、請求側の主張を見る限り、標準算定方式を無視しているわけではなく、むしろ、標準算定方式に依拠しながら、その限度を突破するような「特別な事情がある」という理論構成をしています。具体的な計算方法を数式で明記していることも珍しくありません。
ただ、結論としては、いずれも、標準算定方式の枠内で考慮済みの事項を主張しているか、婚姻費用・養育費の問題ではない事項(たとえば不法行為や財産分与など)を持ち込んでいるといった具合に、標準算定方式を理解していれば、およそ認められないことが分かるようなものでした。
慰謝料請求では、相場よりも高い金額を請求することが珍しくなく、むしろそれがデフォルトと言っても良いくらいなのですが、請求者の感情的な側面を無視できないことと、算定が裁判官の裁量であることから、少々の過大請求も理解できます。そもそも、慰謝料の相場が総じて低すぎるという意見もあり、相場を上げていくためにも、高額な請求をすることが必要な場合もあるでしょう。
しかし、婚姻費用・養育費に関しては、単なる勉強不足ではないかと思われるような主張が、弁護士によって平然と行われています。しかも、おそらく、依頼者の希望を叶えるために、無理だと分かっていて請求しているわけでもなく、認められる可能性があると本気で考えている節もあります。
これは、婚姻費用・養育費の算定方法が数式で公開されていることが原因だと思います。こういう理論的な数式を弁護士に与えると、それを駆使して依頼者に有利な計算をしようとする弁護士が現れます。それ自体は、別に問題ない(というより、弁護士の仕事としては、当然のこと)のですが、ちゃんと理解して使用していないので、計算方法を公開していることが、かえって過大請求の原因となっているのです。
むしろ、「細かい数式は分からないが、算定表に当てはめればこれくらい」というスタンスの弁護士の方が、早く調整できる場合もあります。勉強熱心なのは重要ですが、何事も、中途半端に理解すると、かえって逆効果になるということですね。
