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ワンナイトの後の被害届

ワンナイトの後、被害届が出ているんじゃないか心配という相談

マッチングアプリやナンパで出会った初対面の女性と性的な行為をした後、法律相談に来られる方が少なくありません。行為後の女性の態度が冷たく、連絡先の交換を断られたりして、「本当は嫌だったんじゃないか」、「警察に被害届が出ているんじゃないか」と心配になって、相談に来られるケースです。

こういう相談は、弁護士からご提案できる手段がほとんどありません。相手の女性が被害意識を持っているかも分からず、住所も氏名も連絡手段も不明である場合、示談交渉もできません。多くの法律事務所では、警察から連絡が来たら弁護士に相談すればよく、現時点で、特にできることはないという回答になってしまうようです。そのため、不安が解消されず、いくつもの法律事務所をハシゴして、相談する人も珍しくありません。

逮捕されるか?

たとえば、相手が13歳未満だったり、13歳以上16歳未満で、自分が5歳以上年長であるなど、年齢だけで不同意性交、不同意わいせつが成立する場合であれば、逮捕される可能性は十分考えられます。また、相手が泥酔状態だった場合や、明確に拒絶の意思を示して逃げて行った場合など、不同意性交や不同意わいせつであることに争いの余地がない場合には、逮捕される可能性があります。

しかし、相手が成人で、マッチングアプリやナンパで出会い、自宅やホテルまで行って性的行為をし、その場で明確な拒絶の態度もなかった場合、仮に、すぐに被害届が出たとしても、いきなり逮捕ではなく、任意の事情聴取からということが多いと思われます。

警察から連絡が来るまでにどれくらいかかるか?

仮に、すぐに被害届が出ていたとしても、警察から連絡が来るまで、半年以上かかることもあります。被害者からの事情聴取のほか、防犯カメラ映像の収集など、裏付け捜査を終えてから連絡が来るのが通常だからです。私の経験では、1年近く経っていたということもありました。

警察に出頭したらどうなる?

「すでに被害届が出ているのではないか」と不安になって、「警察に出頭した方が良いか」と訊かれることがあります。

しかし、相手女性が成人で、被害届が出ていなかった場合、出頭しても、事情を訊かれるだけで、捜査されることはありません。どこの誰かも分からず、被害意識すら持っていないかもしれないのに、警察が、わざわざ女性の素性を突き止めて、被害届を出すかを訊きに行くなどということはありません。

他方、被害届が出ていれば、自ら出頭したという事実は、逮捕・勾留を回避するのには有利な事情として働くでしょう。長期間が経過してから警察の聴取を受けるより、記憶も鮮明で、詳細な説明が可能になります。また、警察の連絡が来てから動き出すよりも、示談交渉に使える時間を長く取ることができるというメリットもあります。

被害届が出ている可能性は低い?

どうやら法律事務所に相談した際、弁護士から、「被害届が出ている可能性は低い」と言われることもあるようです。

確かに、実際は、不同意性交や不同意わいせつではないのに、行為後の女性の態度が冷たかったというだけで、被害届が出ているのではないかと心配しているケースが多く、法律相談全体に占める割合から見れば、被害届が出ているケースは少ないかもしれません。

ただ、本人が心配して、法律事務所に相談している時点で、女性が内心嫌がっていたという想像は当たっていることが多く、被害届が出ていても不思議ではありません。あくまで、法律事務所に寄せられる相談のうち、実際に被害届が出ている割合は多くないというだけです。実際、過去には、法律相談の3日後に逮捕された事例もありました。

結局、どうすれば良いのか?

まず、法律事務所に相談して、出会いから性的行為の終了に至るまで、詳細な経緯を説明してください。不同意性交や不同意わいせつに該当するかを検証するのが先決です。

もちろん、不同意性交や不同意わいせつに該当したからといって、女性が被害届を出していない可能性もあります。逆に、不同意性交や不同意わいせつに該当しなかったとしても、気分を害した女性が、事実と異なる被害申告をしていることも考えられます。

しかし、まずは犯罪に該当するかを検証しなければ、もしもの時の対応も決まりません。犯罪に該当しないということであれば、不安も解消されるでしょうし、該当する場合は、弁護士と方針を決めておくことで、不安を緩和することができると思います。

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