中学生、小学生の兄弟がいて、夫と別居中の女性からの相談です。別居後も住居の距離は離れておらず、事実上、子供が双方の家を行ったり来たりしている状態でした。双方とも、親権の取得を希望していましたが、まだ共同親権という制度はなく、どのように離婚したらよいか分からないということでした。
中学生の親権者を父、小学生の親権者を母と定め、いずれも共同で監護・養育する内容で和解しました。養育費に関しては、それぞれ必要な範囲で適宜分担するという内容に留め、具体的な金額を取り決めませんでした。
弁護士に相談した段階で、既に相当期間別居しており、子供が、お互いの家を行き来している実績があったこと、双方とも働いており、養育費に関する金銭的な執着が低かったことで、早期の和解を成立させることができました。
もし、令和8年4月以降の離婚であれば、共同親権にしていたであろう事案です。
通常、共同養育・共同監護というのは、書面で約束しようとしても、離婚した後の具体的イメージがつきにくく、合意に至らないことが珍しくありません。別居後の住所が離れていると、現実的に不可能なこともあります。
このケースでは、既に別居したうえで、子供が、お互いの家を行き来するという生活をしており、双方が具体的なイメージを持ちやすかったことが、早期和解につながりました。単独親権を双方に分離して持つという解決も、通常であれば、あまり好ましくありませんが、中学生は自分の意思がある程度はっきりしており、父を希望したのに対し、小学生には、母が必要だろうという考えを、夫婦で共有することができました。おそらく、共同親権制度があったら、共同親権にしていたのではないでしょうか。
共働きで、それぞれが自立できる収入を得ていたこともポイントです。養育費は、通常、具体的な金額を取り決めておかないと、後々、トラブルになる可能性がありますが、共同監護体制では、どちらが、いくら負担するかという点について、予め合理的に計算するのは困難です。本件では、それぞれが金銭に執着していなかったことが、柔軟な合意に繋がったと言えます。
