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小規模個人再生における「書面決議」

近年、金利が上昇し、毎月の住宅ローンの支払いに苦しんでいる方も珍しくなくなりました。小規模個人再生は、住宅ローンを支払いを継続し、住宅を維持しつつ、その他の債務を減免することができる手続として、今後、利用が増える可能性があります。

小規模個人再生の手続きを進めるうえで、多くの方が不安に感じられるのが「書面決議(債権者による同意・不同意の意見聴取)」です。「債権者に反対されたら借金は減額されないのではないか」と心配されるかもしれませんが、過度に恐れる必要はありません。

この記事では、書面決議の仕組み、反対意見を出す傾向にある金融機関の特徴、そして過半数に達しない場合の考え方について解説します。

目次

1. 小規模個人再生における「書面決議」と認可基準

小規模個人再生では、提出した再生計画案(減額後の返済計画)を認可してもよいか、裁判所から債権者に対して意向を確認する「書面決議」が行われます。

再生計画案が否決(法律上の取り扱いとしては廃止といいます)となるのは、以下のいずれかに該当した場合です。

  1. 反対(不同意)を表明した債権者の頭数が、全債権者数の半数以上となった場合
  2. 反対(不同意)を表明した債権者の債権額が、総債権額の2分の1を超えた場合

書面決議に不同意とする際、債権者によっては、その理由を記載してくることもありますが、どのような理由で不同意としても良く、そもそも理由を述べる必要はありません。したがって、過半数債権者に不同意とされてしまうと、問答無用で小規模個人再生は認可されないことになってしまいます。

2. 不同意(反対)を示す傾向が指摘されている金融機関等

実務上、多くの金融機関や貸金業者は「回答を出さず容認する(消極的同意)」という姿勢をとりますが、社内規定や独自の運用基準により、不同意の書面を提出してくるケースが指摘されている主な事業者・機関は以下の通りです。

  • アイフル:自社単独で過半数を阻止できない状況であっても、社内規定により機械的・原則的に反対意見を提出するケースが知られています。
  • ドコモ・ファイナンス(旧オリックス・クレジット):一部のクレジットカード・信販・ローン事業者において、独自の審査基準等に基づき不同意を出してくる場合があります。
  • 日本政策金融公庫:政府系金融機関であり、公的資金を取り扱う性質上、減額計画に対して厳しい姿勢を示し、不同意に回ることがあります。もっとも、最近では、不同意にしないことも多いと言われています。
  • 信用保証協会:公的保証機関として、税金等を背景とした厳格な債権管理方針に基づき、再生計画案に反対の意見を示すことがあります。
  • 一部の債権回収会社(サービサー)や共済組織:債権回収を専門とする事業者や特定共済などで、返済期間や返済条件が厳格にチェックされ、不同意が出されるケースがあります。
  • 借入直後の申立て・浪費が著しい場合の各金融機関:借入れを行ってからほとんど返済せずに再生手続きへ移行した場合、換金行為など破産手続であれば問題になるような行為が確認できる場合、虚偽申告・過度な浪費が発覚した場合、その債権者に対する債務額が非常に大きい場合などは、通常は反対しない大手金融機関であっても不信感から不同意を示すことがあります。

3. 「不同意」を出す債権者はごく少数派です

「反対する業者がある」と聞くと不安に思われるかもしれませんが、司法統計によると、債権者の反対等を理由に小規模個人再生が廃止・不認可となるケースは全体のわずか2%〜3%程度にとどまります。

実務においては、大半の都市銀行、地方銀行、大手消費者金融、クレジットカード会社は、再生計画案に対して積極的な反対を行いません。事前に弁護士が申立ての内容や返済計画の妥当性をしっかり整えて提出するため、大半の手続きはスムーズに可決されています。

もっとも過度に心配する必要はありませんが、申立前に適切な予想を行うことは極めて重要です。書面決議に反対するにあたり、合理的な理由は必要なく、債権者が不同意と言えばそれまでであって、リカバリーの余地がありません。

4. 過半数を超えていなければ過度に心配する必要はありません

仮に上記の金融機関などが債権者に含まれており、実際に反対の書面を出してきたとしても、「反対した人数」が全債権者の半数に満たず、かつ「反対した金額の合計」が債権総額の2分の1を超えていなければ、法律上何の問題もなく再生計画は認可されます。

例えば、債権者が4社あり、そのうち1社(全体の債権額の30%を保有)が不同意を出したとしても、要件を満たしているため個人再生は成立します。1社から反対が出たこと自体を恐れる必要はありません。

万が一、反対で過半数を超えそうな場合の対策

もし「反対が予想される債権者」が1社で債権総額の50%超を占めているようなケースであっても、事前に以下のような回避策をとることができます。

  • 弁護士による事前交渉・説明:計画の妥当性や破産に至った場合と再生での回収見込みを丁寧に説明し、理解を促します。
  • 給与所得者等再生への切り替え:債権者の同意が不要な手続き(給与所得者等再生)へ変更して申し立てることで、反対のリスクを回避します。
  • 自己破産への切り替え:小規模個人再生も給与所得者等再生も困難な場合には、自己破産に切り替えることも検討する必要があります。

反対リスクが気になる方は、個人再生の実務実績が豊富な弁護士へお早めにご相談ください。

弁護士による事前交渉について

小規模個人再生に反対するかについては、社内運用で決まっていることもあり、交渉の余地がないこともあります。また、「申立後でなければ、不同意にするかわからない」という回答しか得られない場合もあります。

給与所得者等再生について

給与所得者等再生は過半数債権者が反対しても問題なく認可されます。ただし、可処分所得の2年分(要するに生活に回すべき最低限の金額を除外した余剰収入の2年分)を支払わなければならず、特に、誰も扶養していない独身の方では、弁済額が非常に高額となり、場合によっては、個人再生をする意味が乏しい金額になることもあります。

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